千光寺山の急斜面に建つ、大正時代の和風建築を今に残す「みはらし亭」

放送後記

今回は「尾道水道が紡いだ中世からの箱庭的都市」と題された広島県尾道市の日本遺産の中から:みはらし亭をご紹介しました。

前回、番組でご紹介した“千光寺山”。
美しい寺社と、自然の厳しさ・強さを感じさせる巨岩・巨石が印象的なその千光寺山の急斜面に建つ、木造2階建ての建物が・・・みはらし亭です。



千光寺の参道にあるため、徒歩でむかう観光客は必ず目にするはず。ふもとから、海を背にして300段ほど登ったあたりでしょうか。

その建物から見える景色は、その名の通り、素晴らしいみはらし。尾道水道の絶景で、多くの客人をもてなしてきました。

さて、その歴史は、少し特殊です。
大正時代後期に、尾道で折箱製造業で財をなした人物が絶景の坂の上に“茶園(さえん)”を建設。ちなみに、尾道で茶園というと、茶畑のことではなく、客人をお茶でもてなす別荘のこと。
その後、別荘としての役目を終え、昭和44年からは“みはらし亭”という旅館として活用されていました。しかし、その後、営業を停止して30年近く、空き家状態に。



ただ、これで終わりではありません。平成24年にNPO法人と賃貸契約して、復活へと向かうんです。周りは急な坂だらけ、という特殊な場所ですが、ボランティアの方々の協力で、空き家の再生が無事終了。平成28年の春に、ゲストハウス“みはらし亭”として再び活用されるようになりました。
大正時代の和風建築を今に残す 貴重な木造建築を活かしながら、現代のセンスで彩られたその空間。

カフェとしても楽しめますし、もちろん格安で宿泊もできます。外国からの観光客も多いようですよ。

そして、夜景も見事。
みはらし亭がある千光(せんこう)寺山(じやま)からの夜景は“夜景100選”にも選出されるほど。
ライトアップされたお寺。街の明かり、対岸の島のあかり、
ライトアップされた新尾道大橋や造船所のクレーン・・・。



木のぬくもりと、尾道の絶景。
これ以上のおもてなしはないかもしれませんね。

ぜひ、あなたも日本遺産へ。新たな日本の魅力を再発見してくださいね。