トランプ大統領の強硬な“不法移民対策” 現地の本音と建前は?

中西哲生と高橋万里恵がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「クロノス」。2月20日(月)放送の「SUZUKI BREAKFAST NEWS」コーナーでは、ジャーナリストの仲野博文さんにアメリカの“不法移民”にまつわる問題について話を伺いました。

トランプ大統領は米大統領選のとき、不法移民の取締り強化やメキシコ国境の壁の建設などを公約として掲げていましたが、その壁の建設コストはおよそ1兆2000億円。しかし、アメリカ政府が出した試算では約2兆3000億円にのぼり、今すぐ建設に取り掛かっても完成は2020年の終わりごろになると言われ、賛否さまざまな意見が飛び交っています。

そもそもアメリカは“人種のるつぼ”と言われるほど多民族国家であり、移民に対して比較的寛容でしたが、トランプ政権となってその状況は一変。そんな混迷を深める“不法移民”をめぐる問題について、仲野さんは「各州で予備役として登録している州兵に捜査権や逮捕権を与えて不法移民を摘発・検挙させようという草案の存在がAP通信によって報じられました」と最新の情報を紹介。さらに、本来州兵は災害時の救援活動や暴動の鎮圧などが目的であることから、「州兵による不法移民の取り締まりは前例がなく、既に懸念を示している州知事もいる」と仲野さんは続けます。

これを聞いた中西は「不法移民だと判定すること自体ものすごく難しいのでは?」と疑問を投げかけます。仲野さん曰く、それを判定することは可能だがかなりの時間とお金がかかるためあまり現実的ではないとのこと。さらに、「実は不法移民も税金を納めているんです」と仲野さん。なんでもアメリカ社会には“犯罪歴がない不法移民は摘発の対象にならない”という暗黙のルールがあったために、彼らは仕事をして税金を納めているそうです。ちなみに、現在の不法移民の数は推定で全米の国民のおよそ30分の1にあたる約1100万人と言われており、彼らが払っている税金は日本円にして年間総額1兆3000億円にものぼります。そんな現状に仲野さんは「こうなってくると労働力としても貴重ですから、不法移民の摘発を急に進めてしまうと財源の確保ができなくなる州が出てくる危険性もある。これは本音と建前の部分なんですが、自治体レベルでは“不法移民の摘発はやってほしくない”というのがどうやら本音みたいなんです」と、その内情を明かしてくれました。