今回は、“琵琶湖とその水辺景観-祈りと暮らしの水遺産”
と題された滋賀県の日本遺産の中から:伊吹山をご紹介しました。
■滋賀県の東北部、岐阜との県境にある米原市にそびえる伊吹山。
標高1377m。滋賀県の最高峰で、かつては豪雪地帯として知られました。
山には、およそ1300種もの植物、ヒメボタルなどの生き物など、豊かな自然が四季折々で楽しめて、また山頂からは琵琶湖、そして濃尾平野が一望できる最高の景色。トレッキングにも大人気です。
その山が生む清らかな水は、“琵琶湖の素(もと)”とも言われ、滋賀県、そして岐阜県の農業、漁業、生活に切っても切れないものでした。
その伊吹山。
古代から“水の神”が住まう、とされてきて、現在でも、信仰の対象とされています。
周辺の村々では、現在でも9カ所で、“雨乞い”の為に伊吹山に奉納した、とされる【太鼓踊り】という 五穀豊穣を願う祭りが続いています。
地域によっては5年に一度、という太鼓おどり。
地域の若者たちが、年長者に教わりながら数か月かけて、踊り、そして、お囃子の演奏技術を学び、秋の本番に備えます。
国の無形民俗文化財、そして勿論、日本遺産に指定されたこの伝統の祭り。
かつては踊り続けたまま、伊吹山山頂まで登っていた、という相当に過酷なものだったそうですが、現在でも、太鼓踊り当日は3時間以上も踊りを奉納するそうです。
人々の、水の源への祈りと感謝の姿。今も深く引き継がれています。
さて、そんな伊吹山に訪れた際に楽しみたいのが、お蕎麦。
伊吹は日本蕎麦発祥の地、とも言われ、今でも栽培が盛んです。
名水で打った蕎麦には、たっぷりの大根おろしと冷たい出汁をかけて。
素晴らしい香りと苦みが、伊吹の自然の豊かさと過酷さを表現するかのようです。
ぜひ、あなたも日本遺産へ。新たな日本の魅力を再発見してくださいね。