JAPAN HERITAGE ~ラジオ 日本遺産~ 鎌倉彫

放送後記

今月のテーマは”いざ鎌倉~歴史と文化が描くモザイク画のまち”
今回ご紹介したのは、古都鎌倉を代表する伝統工芸品・「鎌倉彫」でした。

鎌倉彫とは、カツラやイチョウなどの木に文様を彫り、その上に漆を塗って仕上げた鎌倉発祥の工芸品のこと。

およそ800年前、中国の宋から伝来した技術を元に始まったといわれています。

国宝の円覚寺舎利殿(えんかくじ しゃりでん)など、
寺院建築や仏像制作に用いられた技術の伝承。
江戸時代以降も、その優れた彫刻技術は、鎌倉から日本各地に広まっていきましたが、明治になると廃仏毀釈(はいつぶきしゃく)を機に仏像制作の需要が激減。

仕事に困った当時の仏師(ぶっし)たちは、
鎌倉に別荘を構えた上流階級のニーズに合わせた
家具や調度品を制作する事を考えました。それが、「鎌倉彫」のルーツです。



現在、鎌倉彫で作られているのは主にお皿やお盆、などの日用品や家具、調度品。
日本的な草花(くさばな)の絵柄を中心とした力強い彫刻に、
えび茶色の漆が塗られているのが特徴ですが・・・



実は、鎌倉彫の絵柄は自由。ナマズやイルカ模様の鎌倉彫のお皿もあるんです。



伝統工芸品は、作業工程を何段階にも分けて、
何人もの人が作業して作り上げるのが普通ですが、
鎌倉彫は、彫から、漆塗りまで全て一人で作業することが一般的。
だから、作者の個性が、作品に色濃く表れます。

鎌倉由来の伝統技術が息づきながら、時代に合わせて形を変えて成長する鎌倉彫。

今後どんな鎌倉彫が誕生するか楽しみですね。

鎌倉彫は、鎌倉市にある鎌倉彫工芸館で体験することもできます。
鎌倉彫の歴史と、熟練職人の伝統技術を肌で感じてみては、いかがでしょうか。

ぜひ、あなたも日本遺産へ。新たな日本の魅力を再発見してくださいね。