JAPAN HERITAGE ~ラジオ 日本遺産~ 鵜飼い

放送後記



今回ご紹介したのは長良川の鵜飼でした。

鵜飼とは、鵜匠(うしょう)が鳥の「鵜」をあやつって魚を捕まえる、
古来日本各地で行われていた伝統的な漁法です。
その中でも長良川の鵜飼の歴史はなんと1,300年!日本最古ともいわれています。
 
その伝統的な漁法に芸術性とエンターテインメント性を見出した織田信長は、
岐阜を訪れた客人へのおもてなしのクライマックスとして、
鵜飼を船の上で観覧させる事を思いついたのです。
 
鵜飼鑑賞自体は戦国時代より前からありましたが、船の上で見させる方法は、
岐阜市の記録上、信長が初めてだとされています。
 
金華山の山頂に見えるライトアップされた岐阜城を背景に、鵜飼いは始まります。



とっぷりと日も暮れると、長良川上流から、
赤々と燃える篝火を照らした鵜飼い船が見えてきます。
真っ暗な中で響く、船べりを叩く音、伝統衣装に身を包んだ鵜匠の掛け声、鵜の鳴き音。
その様子は、まるでファンタジーの世界に迷い込んでしまったかのような幻想的な風景です。



その美しさは、信長だけでなく、徳川家康、松尾芭蕉、果てはチャールズ・チャップリンからも絶賛され、
時の権力者からの保護を受けて、現代まで守り抜かれてきました。
 
さて、信長が作り上げた岐阜のおもてなし文化は、このように
現代の今もなお、深く息づいています。
信長はありったけのおもてなしをした客人との別れ際、こう伝えたそうです。
「美濃へは何度も訪れよ」。



・・・ぜひ、あなたも日本遺産へ。新たな日本の魅力を再発見してくださいね。