<LED ZEPPELIN Ⅳ/1971年>

日本では、LED ZEPPELIN4なんて言われてますが、海外では、フォーシンボルズなんて呼ばれたり・・・ 結局、正式タイトルすらないという不思議な大名盤。 一番のメジャー曲は、そのものズバリの“ROCK AND ROLL’”でしょうか。

シンプルなエイトビートのR&Rなのに、非常に特殊なグルーヴを持ったツェッペリン・サウンド。
どんなアーティストも一度はセッションしたことのある曲ですが、どうしても雰囲気が出せない・・・。
そこに、ZEPPELINという4つの魂の集合体だけが持つ、特異性があります。

1曲目の“BLACK DOG”もそうです。現在のRECでは常識!ともいえるクリックを使わず、
だからこそ、拍数では定義できない、とんでもなく変なタイミングで全員のリフがスタートする。
そのスリリングさ、その一体感。感動します。本当に。

さてさて、LED ZEPPELIN。1968年に結成されたイギリスのロックバンドですね。
バンドの歴史をかいつまんで説明すると・・・もともとヤードバーズというイギリスの人気バンド
(エリック・クラプトン、ジェフ・ベックを輩出した有名バンド)にいたジミーペイジが新しいヤードバーズをつくるべく、
ボーカリストのロバート・プラントを誘い、ギャラが安くて嫌がるドラムのジョン・ボーナムを無理やり加入させて、
名アレンジャーでベーシスト&キーボディストのジョン・ポール・ジョーンズを入れて作ったバンドがLED ZEPPELINなんですね。
この4人が生むサウンド、グルーヴはまさにミラクル。ケミストリーでした。
1969年のデビュー時から、一瞬で本国イギリス、そしてアメリカまでを虜にしてしまいます。

しかも、メディア嫌いで取材などを極力排除する中、ほぼ口コミだけで人気を獲得するんです。
1969年のセカンドアルバムでは、ビートルズ「アビーロード」を蹴落として、英米で7週1位!というとんでもない記録まで打ち立てます。

しかも、当時の60年代後半は、まさにヒッピー文化の真っ只中。ジミヘン、ジャニス、ドアーズなんかが、“Love & ピース”をメッセージに、
ベトナム戦争へのアンチテーゼとしての音楽活動を行って、ドラッグでハイになり現実逃避する・・・。
それがロックの象徴だった時代に、そういった政治姿勢を全く見せず、ロックをよりハードに、先進的に、そしてグルーヴィーにすることだけに注力して、
天下を取った!!だからこそ、時代性・流行などを超えた存在に成り得た!ともいえます。

バンドは、1970年のサードアルバムでは、アコースティックなサウンドに傾倒してメディアからは大酷評される中、それでも大ヒット。
そして、翌年リリースされたのが、この4枚目です。

アルバムタイトルもなし。ジャケットにバンド名もなし。というビジネスルールを無視したリリース!

レコード会社が、とにかく大反対する中リリースされたアルバムは、結局、その内容の素晴らしさで、現在までにアメリカだけで2300万枚を売り上げるモンスターアルバムとなります。

ちなみに、アルバムは、レコーディングスタジオではなく、イギリスのハンプシャー州にあるヘッドリィ・グランジという大邸宅でRECされました。
収録曲“レヴィー・ブレイク”などの強烈なドラムサウンドは、この大邸宅の吹き抜けの玄関ホールで収録されたそうです。
だから、こんな凄まじいアンビエンスの音がとれたんですよね。
微妙なタイミングでかかっているディレイも、ひょっとしたら自然なディレイなのかもしれません。

下手したら、世界で最も有名なロックの名盤『LED ZEPPELIN 4』.

とてつもないジミー・ペイジの拘りで、同年代のロックアルバムと比べても極端にクオリティの高いサウンド。
そして、ロックの攻撃性と、イギリスのトラッド的なアコースティックサウンドの見事なまでの融合。
そして、楽器隊3人の、まるで塊のような唯一無二のグルーヴ。

45年前に、ロックはここまで進化していたんですね。

あのクラシック界の巨匠:カラヤンをして、「オーケストラで演奏するとしても、これ以上のアレンジを必要としない名曲」とも言わしめた
“天国への階段”のクオリティの高さも“奇跡”としか言いようがありません。

それまで、Black Sabbathをはじめ、その他のイギリスのロックバンドと比較されてきたLed Zeppelinは、この曲で、
他の誰とも比較されない、究極、そして、伝説のロックバンドになります。

<増田博長/JFNプロデューサー>

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