第68回


今回のゲストは、
作家の岩下尚史さん。



今週は、著書「芸者論
芸者論: 神々に扮することを
忘れた日本人」のお話から。




岩下さんは、新橋演舞場でお仕事をされ、東をどりの運営もされていたため、
多く芸者さんや花柳界の方々と親交をお持ちでした。
新橋演舞場を辞め、何もすることがないなぁ43歳の時、ふっと
2年前に届いていた本の企画書を思い出したとか。
「東京の芸者の江戸時代から現代までの通史がないから、っていう企画書で!」
そんな中書かれた著書「芸者論 神々に扮することを忘れた日本人」は、
第20回和辻哲郎文化賞を受賞され、岩下さんは作家の道へ進まれました。

「でもね、会社辞めて書いただけで、次に書きたいものもないし困ってたら、
 出版社の提案で次はインタビューの名妓の夜咄を出したりしてね~」
その後は、三島由紀夫さんの恋人=マダムXから伺ったお話をまとめた小説、
「見出された恋 金閣寺への船出」も書かれています。

地域によって芸者のあり方が変わっていました。
その中でも、江戸の芸者は”美貌と色を売らずに、お客と遊女の取りもちをする”
というのがお仕事だったそう。
「それが近代になって、お客と遊女の取りもちから、仕事の接待の場になったんですよ。
 数時間の宴会で、お招きした方が満足するようにするのが、
 芸者の仕事になっていったんですよね。」と岩下さん。
接待する場合は、料亭にお招きする方の情報を伝えるのだとか!
例えば、お料理の好み、芸者の踊りや歌の好み、お祝い事の有無、
お花の好み、お渡しするお土産を選ぶために必要なご家族の食事の好み、などなど、、、

ただ、このような社交の場でのおもてなしは、悪いイメージが先立っていき、
無くなっていってしまいました。その現状に岩下さんは、
「日本人の社交の技術は弱くなったと思う。”もてなし”、下手になったと思う。」と。
しかし、それは悪いことではない、ともおっしゃいます。
「これはもう世の中の動きだから、悪いって言ってんじゃないのよ?
 芸者論も、昔に戻りましょう、ということじゃなくて、
 ただその時期はこうでしたって書いているだけなの」


M1. YAMABIKO  /  Nakamura Emi  
M2. Let's Fall In Love  / Vic Damone
M3. Take Me To The Pilot / Elton John