第38回


出演:杏子
ゲスト:ミッツ・マングローブ
(ドラァグ・クィーン・タレント・歌手)

1975年神奈川県生まれ。
幼少期をロンドンで過ごし、帰国後、
慶応義塾大学卒業を経て、
再び英国ウェストミンスター大学へ留学。
20歳後半からは、新宿2丁目で
ドラァグクイーンとして名を馳せ、
2011年には歌手デビュー、
現在、タレント、歌手として活躍。

初の自叙伝 『うらやましい人生』(新潮社)がある。

ミッツさんのお母さんの判断基準は、“正しいか、間違っているか”ではなく、
“野暮か、野暮じゃないか”、筋が通っていて、
男は女に負けるなとも言われていたそうです。

しかし、ロンドンに移住して間もない頃、ミッツさんは敗北感を味わいます。
「ハンバーガーショップで、ワンハンバーガー、ワンポテトって頼んだけど
 全然通じなくてガックリきていると同級生の日本人の女の子がスラッと言ったの。
 人生で体験したことのない敗北感と挫折って感じ。
 個人的な主観ですけど、私は男として出来損ないの自覚もあったので
 余計にホンモノの女に負けるのが嫌だった。
 絶対にしゃべれるようになってやるってね」

日本では勉強もでき成績も良かったミッツさんですから、
まさかハンバーガー の注文で負けるとは。
その後、英語を必死に勉強したそうです。

さて、台湾アーティストAARONの曲『MOISTURIZING』は、
ミッツさんが詞を手がけています。
作曲したTAKUYA さんからのオーダーは“いい男に言わせたいセリフ”。
「私、方言とか訛りフェチで!
 中国語圏の人と韓国語圏の人の日本語は違うんです。
 欧陽菲菲さんとかアグネスチャンは中国語圏、チョー・ヨンピルは
 韓国語圏で訛った日本語、特にアジアの人が凄く好き」とミッツさん。

杏子「そう!キュンとするね」
ミッツ「そうなの。訛った日本語でキザなこと歌ったらカワイイじゃないかと思って。
    テレサ・テンから学んだんですけど♪愛をつぐなえば~♪(歌う)って、
    イをつければテレサ・テンになることをあみ出したとき、
    中国語訛りはイなんだなと思って、イで終わらす言葉をいれていこうと思ったの。
    “濡れて”という歌詞を書いたら“濡れイてイ”になる。
    そういうふうに考えて書いたら、すごく楽しかった」

AARONの『MOISTURIZING』をあらためて聴いてみてくださいね。

M1. アヴァンギャルド / 杏子
M2. Walk Between The Raindrops / Donald Fagen
M3. Moisturizing / Aaron(作詞:ミッツ・マングローブ 作曲:TAKUYA)