頑固なのはウチの長男

それは今から20数年前の大晦日。京都生まれ京都育ちの私は奮発して家族みんなにニシンの甘露煮を用意し、年越しそばを食べようとしていました。紅白歌合戦も佳境に入り、さぁいよいよ年越しソバだなとなった時、当時小学校の高学年だった長男が「ボクはこれいらん」と言いだしたのです。基本的に食べ物の好き嫌いが多い長男ではありましたが、ニシンが嫌いとはそれまで言った事がなく、理由がわかりません。父親としては我が子の好き嫌いはできるだけ少なくするべく育てていたこともあり、「好き嫌いしないで食べなさい。年越しそばは縁起物でもあるんやから」と説明もし、なだめすかしながら食べさせようとするのですが、頑として長男は「いらん!」と拒否を続けます。だんだんこちらもイライラが募り、しまいには怒鳴りながら「ごちゃごちゃ言わんと食え!」「いらん!」「食え!」「いらんいうたらいらん!」と押し問答が延々続きました。結局長男はニシンを残して蕎麦だけ食べたように記憶していますが、なんとも後味の悪い一年となりました。
それ以降、今でも、我が家では「年越しそば」とか「ニシン」という言葉を耳にすると、妻、長女、次男たちは一瞬、金縛りのように固まってしまうトラウマとなってしまっています。
いまだに長男がどうしてそこまで頑固にニシンそばを食べようとしなかったのかわかりません。

山親爺

長野県 / 男性 2018/10/19 15:26